カラオケの採点についての考察
10年近く前だろうか、あまりよく覚えていないが、DAMのDAMとも、JOYSOUNDのうたスキのサービスが始まり、採点機能を使ったランキングバトルが流行っていたようだ。
ただ、自分はちょうどその頃から少しカラオケを離れ気味になっていて、ランキングバトルをしているような人達とカラオケに行くこともなければ、自分自身もそれらのサービスにログインしてカラオケをする機会が全くなかった。
なのでつい数年前DAMとものセルフコラボ機能を知るまでは、ランキングバトルが当時流行っていたことさえ知らずに過ごしていた。
そういったこともあって、採点機能は自分には殆ど馴染みがなく、DAMともの有料会員になって録音をすると勝手に精密採点が始まるのでそこでしか採点をすることがなく、更にはほぼほぼセルフコラボをして単発録音がないので採点記録は消えてしまい、殆ど採点に気をとられたことがないという状態だ。
ちなみに自分は基本的に殆どDAMでしかカラオケをしないので、JOYSOUNDのことは殆ど分からない。知っている限りだと、DAMとJOYの採点機能の違いは、スクロールの仕方がDAMは譜面固定で歌詞に合わせて画面が何度も切り替わるのに対し、JOYは画面固定で譜面が流れる形なので慣れている方でないと混乱する。
またJOYの方が音程の表示がシビアで、普通に歌っていると凄く音程を外しているように見える(多分実際外しているんだと思うが)。目に見えて音程を外しまくってるように見えて、点数は悪くなかったりするので不思議だ。
さて、ここからの話は自分がいつも利用しているDAMだけに限定させて貰う。
自分がDAMとも録音をした時、一回目だけは点数が出るので、録音環境や曲によっても変わるのだが大体88~95点あたりになる。95点を越えたことは数える程しかなく、96点以上は確か出したことがない。
ちなみに1曲通して歌い切らないと点数が低くなる仕様のようなので、1番だけ歌った場合やハモリコーラスだけのコラボ用録音をした時の点数は除いている。
あまり採点を気にしたことがなかったのでそんなに調べることもしなかったのだが、精密採点についてかなり詳しく書いてあるサイトを見つけた。この人の記事を見れば実際どう採点しているかが分かる。
知らなかったんだが、DAMともの精密採点の評価基準はこうらしい。
音程 >> 表現力 ≧ ビブラート&ロングトーン ≧ 安定性 >> リズム
採点について詳しく書いてある記事を初めて読んでみたが、色々な発見があるものだ。これだけ具体的に書いてくれているのであればわざわざ他を見に行く必要がないほどだ。
こぶし、しゃくり、フォールの加点は100点満点中で最大0.5点らしい。気にするだけ無駄か。
採点機能は減点もされるが加点ポイントがあるので、途中音程でミスをしてもその他で補って100点を取ることが出来るようだ。たまに100点の録音がDAMとものトップページに上がっているので何度か聞いてみたことがあるが、音程が100%合っていた人は見たことがない。
多少音程を外しても、その他の部分でポイントを稼げば、結果として100点を取ることが出来るようだ。また、音程が完璧でも、倍音で歌うという裏加点ポイントを取らないとどうも100点は取れないらしい。個人的にはこれを知って100点の歌を聞いた時に感じたことに色々納得がいったのだが。
100点を取る位なので、この人達は当然歌唱技術がある。音程は安定していて、ビブラートとロングトーンはかなりの加点ポイントと思えるのだが、勿論これが意識的に出来ている。更に抑揚、こぶし、しゃくり、フォールといった加点ポイントがあり、狙って入れてきている。自分は結構細かく音程を外すし、ビブラートも安定しないので、これをしようと思ってもとても出来ない。これに関しては純粋に凄いと思う。
さて、採点機能は当然音程や音の長さ等が予め入力されていて、その通りに歌わなければマイナスになるわけだが、問題はこれが原曲と違っていることがあるという点だ。録音機能や見えるガイドメロディーを使ったことがある人は分かると思うが、特に古い曲だと、見えるガイドメロディーがやけに音を伸ばすようになっていたりして、原曲よりもかなり長く設定されていたりすることがある。音程の間違いもあったりする。目立つハモリがある曲など、本人がメインで歌う部分ではなくハモリの部分でガイドメロディーが設定されていれば、そこを歌わないと採点としては正解にならない。これらは単に譜面の入力をした人のミスをだと思うのだが、要はこういう譜面上のミスがあったとしたら、その間違った状態のまま歌わないと減点されるということ。
自分は原曲を正として正しく歌うのと、間違ってでも採点の点数を上げることを天秤にかけた場合は圧倒的に前者が勝つので、ガイドメロディー通りに歌って違和感を感じた場合は原曲を聞き直して確認して、明らかに間違いだと分かったらガイドメロディーは無視して歌うことになる。殆どの人がこうしていると思っているのだが、採点でとにかく高得点を狙っているという場合はこうではない人もいるだろう。先の100点の人や、その他98点以上の高得点を出している人の録音を聞くとほぼほぼそうだ。間違っているのを分かっている上であえて間違えて歌うというのは個人的には耐えられない。その曲が好きだから歌っているのに、まるでその曲を知らないでガイメロだけ聞いて歌っているかのように思われるのが耐えられないし、間違ったまま歌うのは気持ちが悪い。
採点はゲームだと言う人がいるが、先に挙げた記事でもはっきり音ゲーのように楽しむと書いてあったので、純粋に歌の上手さ云々だけでなく、本当にゲームとして楽しんでいる人がいるわけなので、その人達は割り切ってやっているんだろう。カラオケに関しても色んな楽しみ方があるので、確かにゲームとして採点機能を使うのもありだと思う。そもそも、歌唱技術がなければ高得点は出せないので、仮に高得点の歌を聞いて点数は高いけどイマイチ響かないなと思ったとしても、恐らく採点にハマっている人はそこも理解して歌っているので、聞く側もあまり気にしてはいけないのかなと思う。
ただ、個人的には採点に拘っている人が、採点を無視して歌った時にどうなるのかというのは少し興味があるところだ。抑揚をつけたりビブラートやロングトーン等を意識して正確に出来るのだから、無理に倍音を使って歌わず、その曲に合った声の出し方歌い方をし、必要な部分で必要な歌唱表現や技法を使うということをしたら、きっと凄いことになるのではないかと思う。
とはいえ、何となくだが、98点以上の高得点を出せる人というのは、採点に拘る歌い方をするあまり、採点用の歌い方しか出来なくなってしまっている人が多いんじゃないかという気がしている。もしそうだとしたら勿体ない話だ。
先の間違った譜面もだが、特に譜面が間違ってなかったとしても、加点される歌い方をついついしてしまうのではないか。過剰な抑揚やビブラートをかけすぎたり伸ばし過ぎのロングトーンをしたりというのがそういうことだが、元々そういう曲ならいいのだが、そうでない曲にもそれをすると、それを聞いてもイマイチしっくりこないということになる。
例えばアイドルソング。色々なアイドルがいて、色々な曲があるが、傾向として真っ直ぐな歌い方をしていることが多いと思う。ガンガンにビブラートをかけたりしているのは珍しいだろう。そういう曲は歌詞の内容や言葉の選び方等からして、元々あまりビブラートをかけるのが合うようには作られていないと思われる。
アイドルでもビブラートかけられて且ついい感じになる人も中にはいるが、あくまで多くのケースが当てはまるという意味でアイドルソングをあげてみた。
ジャンルで言えば、パンクとかにビブラートかけてみたりとかそういうのもピンと来ないだろう。例えば極端に言ってみれば採点で高得点を出す場合はどんな曲でも演歌のように歌うようなイメージだろうか。
曲の種類や、オリジナルの歌手の歌い方でここがいい等という拘り部分があれば、そこを同じように歌いたいと思う人が結構多いと思うのだがどうなのだろうか。
自分が歌うときは原曲の好きな部分や表現方法を出来る限り自分で同じように表現したいのでその辺を意識しながら歌うことになるが、元の曲があまり抑揚がなかったり、ビブラートかけてなかったりする場合、自分にとってはそれが歌っていて気持ちいい歌い方になるので、その通りに歌って採点されると点数は低くなる。逆にビブラートを沢山かけて歌ってる曲を同様に意識して歌うと勝手に点数が高くなる。点数が低くても、その曲はその歌い方がいいと自分は思って歌っているので特に気にならない。
カラオケの採点機能が歌の上手さに関してある程度の指標になるのは間違いないが、一定レベルを超えた場合はそれはもはやゲームかもしくはスポーツになる。歌の上手さというものの定義がどれほど明確かは分からないが、少なくとも人に感動を与えたりするような歌というのは、テレビのカラオケ番組でプロが歌った時にそこまで点数が高くなくてもアマチュアよりも聞いていて心地よい、感動するものであることが多いことから、高得点=歌の上手さとは言い切れないと思われる。もし高得点なんだからそれが素晴らしい歌なんだと自負している人がいるとしたら、歌唱技術の押し付けになってしまうかも知れない。
ただ、何度も言うようだが、高得点を出す人が歌唱技術があり上手いのは確かだし、高得点を出すような歌い方の好き嫌いは別として、自分がそういう歌い方を狙ってやろうと思っても出来ない程度の安定した歌唱技術がないことも分かっているから、真っ向から否定するつもりも毛頭ない。
特にまとめられないまま終わってしまうが、カラオケの採点機能も適度に上手く利用しつつ、自分の歌唱技術を高めることが出来れば一番いいと思うので、今度色々試してみようと思っている。もし試してみて分かったことや気付いたことがあれば、またその時は記事の続きを書くことになるかも知れない。